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海外駐在員の(社宅)家賃補助には所得税が課せられるか?

2019年10月21日 / 国際税務  / 国際税務

■質問
海外駐在員の家賃は会社で払うことになるのですが、その家賃も日本の所得として計算されますか?その際には、所得税の算出はいつの時点ですることになりますか?

■回答
当該物件の賃貸契約者は法人、つまり社宅として駐在員(使用人)に貸与するという認識です。
海外現地での居住費用(家賃、水道光熱費、レンタル家具のリース等)は、本来駐在員自身が負担すべき費用と考えられており、それを会社が肩替わりするような場合、その者に対する経済的利益の供与と解釈されるため、給与課税の対象となります。
ですので、原則では、所得が発生し、所得税の計算を行うこととなります。
使用人に社宅を貸与した場合、給与課税されないためには、下記計算式に基づく賃料の相当額を給与から差し引く必要があります。

「使用人に対して社宅や寮などを貸与する場合には、使用人から1か月当たり一定額の家賃
(以下「賃貸料相当額」といいます。)以上を受け取っていれば給与として課税されません。
 賃貸料相当額とは、次の(1)~(3)の合計額をいいます。
(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

使用人に無償で貸与する場合には、この賃貸料相当額が給与として課税されます。
使用人から賃貸料相当額より低い家賃を受け取っている場合には、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額が、給与として課税されます。
しかし、使用人から受け取っている家賃が、賃貸料相当額の50%以上であれば、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額は、給与として課税されません。」

実務上、給与から上記方法で計算した賃料相当額の金額を差し引き、かつ、手取りが減らないように給与そのものを増額させる方法を一般的に採用します。
そうすることで法人は全額地代家賃として計上、かつ給与課税無しという日本での社宅同様の会計税務処理となります。
また、固定資産税の課税標準額のデータ入手が出来ず賃料相当額の算定が難しい場合ですと、全額地代家賃として計上し、毎月家賃の40-50%を使用人から徴収する方法を採用する保守的な処理を行うこともあります。
(日本でこの賃貸料相当額計算を行うと経験上8-30%程度におさまります)。

参考URL
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2597.htm

https://gerbera.co.jp/blog/p03/b03/theme-2745/

https://www.hilco.jp/14072833205764