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海外旅費規程の支度金に所得税は課せられるか?

2019年10月21日 / 国際税務  / 国際税務

■質問
海外規程の支度金については所得として計算されますか?もし、所得として計算される場合、名称変更等で損金計上されることは可能ですか?

■回答
支度金は外国で生活していくための準備を整えるために必要な支出に充てるためのもので、旅費の概念のひとつと考えます。
支度金は、「給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの(所得税法第9条第1項第4号)」
と定義されています。
支度金、支度料という名称で、所得として計算されず、旅費(所得税は非課税・消費税は課税仕入れ)として計算されます。
支度金、支度料は、一般的に、出張前の準備として国内において使用されるものであると考えられますので、法人の課税仕入れとして仮払消費税を計上することになります。
なお、「海外出張のために支給する旅費、宿泊費及び日当等は、原則として課税仕入れに係る支払対価に該当しない」とされている点に注意が必要です(消費税基本通達11-2-1の注2)。

また、
「(1)その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
(2)その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が
一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。(所得税基本通達9-3)」
に該当するかどうかが旅費規定の作成のポイントですが、その具体的金額・内容は、統計資料(2017年度国内・海外出張旅費に関する調査)及び国家公務員や地方公務員の旅費に関する法律(下記URL参照)を参考にされますと税務リスクはさらに軽減されると考えます。

海外旅費規程の充実度次第で所得税基本通達9-3の要件を満たし、非課税と考えます。
旅費以外ですと、例えば、引越費用、家具の保管費用、家具の配送費、電圧変換器具等備品購入等は通常の業務ではその負担は発生することは無く、転勤によってはじめて転勤者に負担を与えますし、経済的利益を及ぼさない範囲であれば非課税のロジックは通じると解釈します。

参考URL
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/02/02.htm#a-01

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/11/02.htm

https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/6459.htm

https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/shanaiseido/shuccho/pr1710.html